夫婦生活で、夫が食費や生活費をくれなくなる理由は、夫婦関係の悪化と言われています。
その陰には、不倫や別居、ギャンブル依存など見え隠れしそうですが…。
今回は、生活費をくれないという行為に対する法律からの見解と、離婚を決めた場合の取るべき行動に注目して解説していきます。
この記事では以下についてわかります【目次開く】
法律で定められている夫婦の生活費
生活費と法律・婚姻費用の分担義務
夫婦は【婚姻費用】を分担することが、法律で義務付けられています。
- 食費
- 衣服費
- 住居費・住宅費(家賃や住宅ローン、固定資産税、光熱費など)
- 教育費
- 娯楽費、教養費
- 交際費
- 医療費など
以上のように、夫婦が共同生活でかかる生活費のすべてが【婚姻費用】に当てはまります。
同居・別居に関わらず、婚姻関係にある限り、『夫婦二人の収入を合わせたお金』から生活費を捻出しなければいけません。
妻が兼業主婦の場合は、夫の収入と自分の収入を生活費の支払いにあてる必要がありますね。
妻の交際費や、家族の娯楽費も婚姻費用に入ります。
収入がまずまずあるのに生活費をくれない夫は、法律に反しているといえます。
婚姻中にもらうべき婚姻費用はいくら?
では、実際に生活費としてもらえる金額はいくらなのでしょうか。
ここでは、15歳未満の子ども一人がいる世帯の場合を、1つの例として挙げてみます。
- 夫:年収500万円、妻:専業主婦 ⇒ 婚姻費用8~10万円
- 夫:年収400万円、妻:年収100万円 ⇒ 婚姻費用6~8万円
生活費として受け取れる婚姻費用は、東京家庭裁判所ホームページの『養育費・婚姻費用算定表』に詳しく書かれています。
ただ、大変細かな表ですので、以下のサイトが参考になるでしょう。
生活費としてもらうべき金額がわかりましたね。
生活費をくれない旦那とは、一緒に生活していても赤字続きで苦労するばかりでしょう。
お金の工面ができなくて、実家に頼ってしまう主婦もいるようです。
算定基準はありますが、そもそも金銭で女性の生活を一方的に束縛するような関係性ならば、愛情も冷めてしまうでしょう。
少なくない?
私が贅沢なだけなのかな?そんなんじゃ到底やってけない。
それで頑張っている家庭もあるのだろうけど、本当に最低限の金額なんだね。
妻の年収が100万あれば、6〜8万だよ…
生活費をくれない夫との離婚の手続きと法律
協議離婚
協議離婚は離婚届一枚で簡単に離婚が成立します。
離婚理由が法的なものでなくても、夫婦の話し合いでお互いにOKし離婚するという方法です。
離婚届に二人が署名しハンコを押して役所に提出すれば離婚が成立します。
しかし感情に流されて離婚してしまうと、離婚後の金銭的問題が出てくる場合があります。
- 慰謝料
- 子どもの養育費
協議離婚は、離婚後の生活についての取り決めに注意が必要です。
調停離婚
協議離婚で話し合いがまとまらなければ、家庭裁判所に調停離婚として申し立てます。
別居などで話し合いができない場合は、最初から調停離婚を選ぶケースもあるかも知れません。
ちなみに、調停離婚も離婚理由は問われません。
夫婦双方が別々に呼び出され、それぞれが家庭裁判所の調停委員と面談。お互いに顔を合わせることはありません。
調停委員を介して離婚後の親権や養育費、慰謝料などを話し合っていきます。
裁判離婚
調停離婚でも離婚が成立しない場合は、裁判離婚を起こします。
よく芸能ニュースなどで報道されている離婚の裁判がこれにあたります。
裁判離婚は、調停に申し立ててからでなければ裁判に運ぶことができません。
また裁判離婚の場合は、離婚の理由が法律に当てはまっていなければ成立しません。
民法の第770条1項で、夫婦の一方が離婚の訴えをすることができるとして、以下の項目を定めています。
- 配偶者の不貞行為
- 配偶者の悪意の遺棄
- 配偶者の生死が3年以上わからない
- 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがない
- その他婚姻を続けられない重大な事由がある
【5】の『重大な事由』として認められるかの判断は難しいようですが、一例として以下があげられます。
- 性格の不一致
- DV
- 性生活の不満
- 金銭問題
- 犯罪行為
裁判離婚【悪意の遺棄】とは?
このことからわかるように、もらうべき『婚姻費用』=生活費をくれなければ、離婚の理由になり得ます。
離婚の訴えができる理由として定められている、裁判離婚の2番【悪意の遺棄】は、相手が大変な思いをすることを知っていてわざと行動することです。
生活費をもらえなければ、生活は赤字となりますよね。
妻が苦労するのをわかっていながら生活費をいれない夫の行動は、【悪意の遺棄】に当てはまるんです。
また、不倫や勝手な別居も【悪意の遺棄】になります。
ただし、生活費をいれない行動に正当な理由があったり、相手が苦労していることを知らない場合は【悪意の遺棄】にはなりません。
例えば、夫が病気や入院の治療で仕事を失い収入がなくなれば、生活費を支払うことができなくなります。
病気になったのは【悪意の遺棄】にならないと考えられます。
こんな一例もあります。
ゼロから始めた事業なので、事業資金として銀行からお金を500万円借りました。
しかしながら事業が軌道に乗る前に差し迫ってくる家庭の生活費や子どもの大学費用。
「妻や子どもたちにだけは今までの生活を続けさせたい」
そんな思いから、事業のために借りたお金も家庭の生活費に回してしまい、ついに借金は1,000万円までふくれあがりました。
銀行から借りたお金も家庭につぎ込むほど、家庭に責任を感じていた彼は結果うつになり、入院。
個人事業なので雇用保険もなく、無収入となり事業も閉鎖となりました。
この場合、【悪意の遺棄】とみなすのは難しいようです。
生活費をもらえない妻も苦しんでいるかもしれないけれど、病気になった夫も同じくらい・いやそれ以上苦しんでいるかも…。
自分の辛さしか気づかないのが普通だろうけど、第三者から見ればわかる気がするね。
まして、子どもがいればなおさら。四の五の言ってられないよ。
そんなことより「生活費くれ」としか思えないのが普通だね。
夫が無職だったら家庭も無一文?
サラリーマンが失業したら、失業手当を受け取れます。
もらえる金額や期間は、勤務年数や失業理由により異なります。
夫が失業した場合にも、生活費としてもらえるお金ですね。
ただし、普段から生活費をくれない旦那には要注意!
働かなくてもお金が入ったことで、遊び癖がつく男性もいます。
失業保険は務めてきた人が長年払ってきたお金です。
「俺がこれまで働いてきたから(もらえている)だろう!お金は俺の自由にする!」と勘違いしてくる男性もいるでしょう。
ひどい場合は就職先も見つけず、お酒を飲んで家でだらだらパチンコや競馬などのギャンブル、スノボや旅行へと家庭をかえりみずに遊び三昧。それでは家族もついていけませんね。
離婚したらどうなるの?もらえる養育費
子どもがいる場合、成長するまでの養育費も心配ですよね。
養育費は、教育費だけではなく、養う育てるという言葉通りの費用。
教育費はもちろん、食費・習い事や医療費・被服費・娯楽費などが含まれます。
婚姻費用と同じく、15歳未満の子ども一人がいる世帯の場合を例として挙げてみます。
- 夫:年収500万円、妻:専業主婦 ⇒ 養育費4~6万円
- 夫:年収400万円、妻:年収100万円 ⇒ 養育費2~4万円
それだけじゃ、絶対無理じゃない?
ほんとに教育費以外含まれてるの??
私の親戚、離婚していない別居の時から、養育費として毎月15万もらってる人がいたよ。
それ全て、塾や習い事代に消えてたんだって。
もちろんお金ある旦那だったから、「生活費をくれない」が原因ではなかったけどね 汗
進学塾なんて到底行かせてあげられない。
子どもの進学先はもちろん、将来にも大きく影響してくることだね。
離婚は、子どもの健やかな精神に影響を及ぼすどころか、一生に関わる一大事なんだよね。
生活費をくれない夫との離婚で慰謝料は請求できるか?
離婚理由が『悪意の遺棄』であれば、慰謝料の請求はできると考えられます。
しかし、日本の離婚の90%が協議離婚。離婚理由を問わない離婚方法です。
お互いに納得できず裁判まで持ち込む労力を考えると、どうしても示談を選ぶケースが多い現実。
調停や裁判にかけてまで戦う離婚ならば、本格的に弁護士に相談するのがベストでしょう。
しかし、生活費をもらえず苦労しているということは、弁護士を雇うお金もない方がほとんどではないでしょうか。
早くすっきりさせたいって思います。
離婚はプロに相談するのもアリ!
ここで注意しなければならないことがあります。
生活費をくれない夫だけがすべて悪いと思っていても、調停や裁判を起こしてみると実は不利な結果となる場合もあるんです。
生活費をくれないマネハラ夫の原因は、長年積もり積もってきた『夫婦生活のひずみ』でもあります。
妻側にも原因があって、そこを掘り下げられつつかれると、50/50となる可能性も高くなります。
どっこいどっこいならまだまし。
妻の方が、非が多いとなれば…逆に慰謝料を請求されるはめにもなりかねません。
生活費が少ない・生活費をくれない辛さから起こした行動が、大変な事態を招いてしまいますね。
そこで活用したいのが、市町村などで行っている弁護士無料相談会です。
夫が生活費をくれないことで苦労している主婦は、きちんとしたプロに相談し、ある程度想定してから行動を起こしましょう。
自分の現在置かれている状況や、実際に必要な婚姻費用など、客観的に見てみる良い機会となりますね。
生活費をくれない旦那と離婚して幸せになる!
大切なのは自分の幸せ
生活費が赤字で大変な生活を送っていると、「一刻も早く離婚したい!」など、衝動的な感情に包まれたりします。
またはその逆に「いつまでたっても(離婚に)ふんぎりがつかない」といった状況に諦めを感じたりします。
そこで考えて欲しいのは、自分自身の幸せです。
今日の自分、明日の自分、未来の自分がどんな生き方だったら幸せなのかを。
- 「離婚することで環境を変え、幸せになりたい!」
- 「自立してバリバリ働いて、自分の自由になるお金を得たい!」
しかし、こんな考えもあるかも知れません。
「生活費をくれないダメ旦那を、お世話して支えたい」
自分にとっての幸せがどういう形であれ、『生活費をくれない夫からの自立』が目標なのは共通していますね。
「パパはいつ帰ってくるの?」って、6歳の小さな子どもが毎日毎日泣いてたんだよね。
自分の幸せを優先したことに後悔したから、友達にも「子どもがある程度大きくなるまでは、離婚しない方がいい。旦那といる苦痛よりも地獄の毎日だよ。」って言ってた。
でも、生活費をくれないとなれば、話は別だね。
DVだってそうだよね。
時と場合によって、思い切る勇気だって必要かなって思うね。
主婦が離婚したら今までよりも出費がかさむ?
扶養家族になっている主婦がいきなり離婚すると、旦那の名義になっていたことで出費がかさむ上、リスクも生じます。
さらに、さまざまな手続きが必要です。
- 自動車保険の等級が変わる
- 生命保険その他多くの名義を変えなければならない
- 変更による引き落とし口座の変更
- 住民票・戸籍の変更
- 健康保険証の移行手続き
- 専業主婦の場合、年金が第3号被保険者でなくなる
自動車保険は夫の名義で家族割引に入っているご家庭が多いのではないでしょうか。
離婚すれば当然自分の名義でかけなければいけません。等級も最初からのスタートとなるので注意しましょう。
生命保険の名義が夫だと、たとえ妻が納めてきた場合でも、手続きは本人でなければできません。解約や払い戻しについてもしっかり確認しておきましょう。
生活費をくれない夫は、借金がかさんでいる可能性もあります。
最近では銀行のカードにキャッシングサービスがついている場合もあります。
ここでローンを組んで支払いが滞ると、通帳自体が凍結され、引き落としができなくなります。
健康保険証は離婚すれば別々となり、自分で支払う必要がありますよね。
年金は離婚すれば専業主婦であれば国民年金へ加入となり、自分で払わなければなりません。
着々と自立と離婚の準備をする
離婚したら環境の変化はもとより、生活にかかる出費も増えてきます。
だからこそ、マネハラ夫と離婚して幸せになるために、着々と準備をするのです。
- 離婚後かかる生活費を計算する
- 自立できる仕事を探す
- 離婚後、支給される手当を調べる
母子家庭になると、母子手当が支給されます。
市町村によって少しずつ変わりますが、20歳未満の子ども一人に4万円前後が相場となっています。
昔のことで忘れちゃたよ。
でも母子家庭は水道代が確か2割ほど安くしてもらえるんだよね。
知ったのは5年も6年も経過した後だった…。なんでも確認しておかないといけないね。
きちんと調べておかないと、損しちゃうね。
収入によっても変わるので、注意が必要。
また、医療費控除や就学援助など、市町村の支援を得ながら子育てをしていくという手立てもあります。
仕事開始に自信がない人は、ハローワークに相談に行きましょう。
ハローワークでは、就職するためのさまざまな資格に対する就業支援を行っています。
就業支援はテキスト代や資格受験料以外は無料のものがほとんど。
生活費をくれない夫と離婚、少しでも有利に持っていきたいのが心情。
しかし、養育費は期間限定、慰謝料ももらえてもその時だけです。
おまけに、本当に養育費をきちんと払ってくれるかどうかもわかりません。
「一生誠意を持って払っていく」なんて言っておいて、消えちゃいました。
世の中には、そんな風に泣き寝入りしている女性が多く存在します。
しっかりとした準備の上で行動しなければ、後で「しまった」と思っても時遅しになりますね。
何にせよ、後悔しないように、大切なのは離婚後の自分自身の幸せではないでしょうか。