結婚前までは、そんなこと感じなかったのに…。同棲して、大丈夫だと思ったのに…。
そんな風に考えている主婦、ほとんどではないでしょうか。
旦那に対し、ムカつくことは多々あるでしょう。
人に対して腹がたつのは、性格の不一致と言えますよね。
『性格の不一致』は、離婚の原因の中でも第1位。
とはいえ、性格の不一致は、離婚の理由として法律的に認められるのでしょうか。
この記事では以下についてわかります【目次開く】
性格の不一致は法的な離婚の理由になる?
まず、離婚の原因1位となっている『性格の不一致』は、法律的な離婚の原因にはなりません。
法的な離婚の理由になるのは、裁判離婚が認められる要件が必要です。- 配偶者の不貞行為
- 配偶者の悪意の遺棄
- 配偶者の生死が3年以上わからない
- 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがない
- その他婚姻を続けられない重大な事由がある
【5】の重大な事由には、『性格の不一致』が含まれていますが、直接的に認められるわけではありません。
なぜなら、性格の不一致は、いわば『価値観の違い』だからです。
価値観の違いなんて、他人ならあって当たり前。さらに、血のつながった子どもでさえ、そうです。
同じ価値観の人など、この世に一人も存在しませんよね。
たとえば、夫が妻に対し常に不満を抱えているとします。
夫の『性格の不一致』での申し立てでの離婚が認められたとすれば、世の中の裁判件数はとんでもない数になってしまうでしょう。
厚生労働省で発表されている2017年の離婚件数は約21万件。
『性格の不一致』だけで離婚が認められれば、おそらく件数は何倍何十倍にも膨れ上がります。
当然、夫が妻に不満を抱えているとすれば、妻だって同じですよね。毎日毎日、さまざまな我慢をしているはず。
それなのに、夫が感じている『性格の不一致』で離婚が認められたとすれば…。逆に、女性にとって不利な立場となる可能性だって否めません。
本音を言えば、女にとって有利な世の中になって欲しいものですが…片側だけに有利な法律なんてあるわけありませんよね。
そのため、『協議離婚』の割合が多いんですね。
性格の不一致で離婚が認められるのはどんな場合?
【5】重大な事由の『性格の不一致』が離婚の理由となるのは、『性格の不一致』が原因で【重大な問題】が発生している場合です。
- 性格の不一致が原因で、夫が激怒し精神的肉体的なDVに発展している
- 性格の不一致で、まともな暮らしができるだけの生活費を入れてくれない
- 性格の不一致を理由に、旦那で出ていき長年別居している
- 性格の不一致が原因で、相手が浮気・不倫(不貞行為)をしている
性格の不一致に離婚で慰謝料を請求できるか?
そして、『性格の不一致』が理由での離婚は、慰謝料請求ができません。
裁判離婚が認められないのですから、当然と言えば当然。
ただし、調停離婚や協議離婚で話しあいの中、相手の合意があれば慰謝料請求が可能です。慰謝料は『解決金』という名目が使われる場合もあります。
やはりどういう形であれ、話し合いは不可欠です。
『性格の不一致』は、どちらが悪いとは言えませんよね。
法律的な結婚は、相手を思いやり添い遂げる契りを交わす法的な約束事です。
結婚したわ、やっぱり性格が合わなかったわ…なんて、そう簡単に離婚できるほど軽いものではありません。
だからこそ、協議離婚が多く、籍を入れないまま過ごすカップルも増えているんですね。
「籍を入れたって意味がない」という男女もいますが、考えれば決して間違っていないと言えますね。
男なら「結婚もせず、いつまでもフラフラして、1人の女に責任も持たないような道楽者が!」
このように言われがちですが…。子どもに辛い想いをさせてしまうより、よっぽどいいのかも。
私は、この歳になってやっと気づきました。
一理あるね。
性格の不一致での離婚相談
性格の不一致での離婚を有利にできないか?
相談者 女性
- 性格の不一致での離婚申立て
- 半年間の別居
- 夫は離婚を拒否
弁護士回答
修復の可能性がないと、調停委員を説得・理解してもらう必要がある。
性格の不一致が理由で、一方的な離婚はできないんですね。
性格の不一致が原因での別居の期間は?
相談者 男性
- 性格の不一致が原因
- 妻は、話しあいを拒否・セックス拒否
- その他、ひどい態度を取る
- 夫側は、心は破たん・修復不可能という考え
- 妻は離婚を拒否
弁護士回答
また、婚姻期間の長さにも影響がある。
一般的には、5~6年の別居でなければ、ほとんどの判決では離婚を認められない。
結婚後、1年以内に別居に至るケースでは、1~2年で認める裁判官もいる。
調停・裁判にかかる時間を考慮しても、最低1~2年は別居が必要。
性格の不一致が悪化、成立した離婚の実例
性格の不一致でうつ病を患い、認められた離婚
- 結婚1年、共働き夫婦
- 夫は家事分担の約束を守らない
- 妻が家で仕事していても、テレビを見てばかり
- 悩みも聞いてもらえず、夫は妻に無関心
- 心のやり場がなくなりうつ病に
- 離婚を申し出ても、離婚を拒否する夫
- 我慢限界になり、家を出る
- 弁護士に相談し、調停離婚のアドバイス
- 夫と会うとパニック障害の症状が出るため、弁護士を介し離婚交渉
- 新居の処分や財産分与についての調停を実施、別居から半年後に離婚が成立
紛れもなく【重大な事由】として認められて当然です。
離婚するために、かかった弁護士費用は20万。意外と安いので驚きました。
しかし、1年もの期間がかかっています。
その間、言葉では言えないほどの精神的苦痛を味わっているはず。
離婚調停に入るまでの期間はわかりませんが、弁護士相談してから1年間もの間を加算すれば、かなりの期間がかかったと予想できますね。
性格の不一致・不貞行為による離婚調停の実例
- 性格の不一致
- 夫が不倫
- 子どもの教育費もかかるため、養育費は相場よりも高く請求したい
- 弁護士相談により、養育費の希望が通り、離婚成立
- 不倫相手の女性から、150万の慰謝料回収
かかった期間は、1ヶ月。
性格の不一致での不満がつのると、お互いに嫌な気分になりますよね。
口を聞くのも嫌だし、一緒の空間にいるのさえ嫌な気持ちになります。セックスレスの始まりでもあります。
そこで起こしてしまうのは、癒しを外に求めてしまう行動。浮気・不倫です。浮気・不倫は、法的に認められていませんし、許せる行為ではありません。性格の不一致でも、離婚の理由になり得ますね。
上の2つの例のように、妻が精神疾患を患ったり、夫の不貞行為やDVなどが原因なら、性格の不一致が認められているケースもあります。
ただし、常に女性にとって、有利に働くとは限りません。
性格の不一致の離婚で女性に不利になった事例
調停で夫が子どもの親権取得
- 性格の不一致
- 妻が子ども(6歳未満)を連れて別居
- 妻に対する経済的支援を必要最小限に抑えて経済的に困らせ、調停を長引かせる
- 親権を譲れば、いつでも子どもに会わせる・養育費も請求しないという条件を提示
- 妻は仕方なしに離婚に承諾、調停で夫が親権を獲得
どのような性格の不一致かはわかりませんが、弱みにこれでもかというほどつけこみ、精神的に追い詰めて親権を勝ち取った夫。
子どもが大切で手放したくない夫の立場からすれば、当然かもしれません。
しかし、妻側からすれば?
母が子どもを取られるなど、身が引き裂かれる想いをしたでしょう。
でも、生活できない状態になれば、我が子の幸せにもかかわってきますよね。泣く泣く承諾したと想像できます。
性格の不一致で養育費の請求放棄をさせた離婚
- 性格の不一致
- 離婚は、お互いに合意
- 夫は、退職している状態
- 妻は、月6万円の養育費を請求
- 前職の収入からの計算で、養育費を決められるのは納得いかない
- 学資保険の名義を全て妻に切り替える条件で、養育費の支払いを放棄させ離婚成立
こちらの例では、夫が離婚交渉中に退職した模様。
養育費の支払いを放棄させるという、弁護士の活躍あってのことですが…。女性側からすれば、子どものために月6万が支払うのがもったいないのか?頑張って働こうと思わないのか?
学資保険の名義を全て妻に切り替える条件って…、学資保険なのだから当たり前。それを取ろうと思っていたのか?
ぶっちゃけ、『それで父親と言えるのか』とも感じてしまいますよね。
性格の不一致がどのようなものかはわかりませんし、女性側に大きな非があったのかもしれません。
しかし、何の罪もない【子ども】が、苦しい生活で苦労するのは何とも居た堪れない気持ちになります。
シングルマザーで自分だけの収入で、子どもを育てていくのは並大抵ではありません。
不貞行為をしていた夫/養育費と財産分与減額
- 性格の不一致
- 夫の不貞行為を、妻が探偵を雇い証拠を掴む
- 離婚はお互いに合意して成立
- 養育費5万円 ⇒ 4万5000円に減額
- 財産分与85万 ⇒ 15万円に減額
女性側からすれば、なぜ?となってしまいますね。
夫の不貞行為以上に、妻に非があったのでしょうか。
妻が探偵を雇い証拠を押さえても、完璧に女性側に有利な離婚になるわけではないんですね。
女性が泣き寝入りを余儀なくされる調停・裁判離婚になるリスク
上の事例でわかるように、女性が仕方なく受け入れなければいけない調停・裁判離婚があるのが現実。
女性が、泣き寝入りを余儀なくされるリスクがあるからですね。
世の中、法律があるからこそ秩序が守られ、平和な生活ができているものの、理不尽なことってたくさんあります。
完全に旦那に非があると思うし、事情を知る周囲も賛同してくれている…としても、裁判では納得いかない結果になるケースだってあるんですね。
それをよく考えなければ、自分だけではなく子どもも路頭に迷ってしまうかもしれません。
辛いお金がない暮らしの中…病気にでもなったとしたら、子どもはどうなりますか?
だからこそ、よく考えなければいけないんですね。
性格の不一致はなぜ起きるの?
お互いの努力の遺棄
性格の不一致は、小さなものから大きなものまで、関わるものは多岐にわたります。
- 洋服の好み・好きな食べ物が全く違う
- 湯船に浸かりたい / シャワーだけの方がいい
- 仕事が休みの日は家でゆっくりしたい / 外出したい
- 使ったものはすぐに使える場所に置いておきたい / きちんと戸棚に片付けておきたい
性格の不一致の原因は、お互いの【努力の遺棄】です。
離婚の理由になる【悪意の遺棄】と同じと言えるもの。
相手の気分を害するとわかっていても、我を通そうとしてしまうんですね。
本当の姿に対する不満
恋愛をしている頃、結婚前は、お互いにとにかく良く見せようと努力しています。
しかし馴れ合ってくるにしたがい、素の姿をさらけ出すようになっていきます。- オナラが平気でできるようになる
- すっぴんを見せてもへっちゃらになる
- 少しムカッとくる事に、できていた我慢ができなくなる
- 自分を抑えるのではなく、自分を主張したくなる
いわゆる、本当の姿です。
結婚は『背伸びしていた恋愛』を終え、『本当の姿を見せる生活』へ突入しているんですね。
しかし、人は誰でも自分の思い通りにしたいもの。
常に自分の好むように接してくれていた相手が、自分が気に入らない言動を行うようになると、性格の不一致・価値観の違いが目につくようになってしまいます。
初めて知る『許せない価値観』
夫婦仲で揉め事の発端となる、お金の使い方や育児・教育方針の相違。- 生活を続けてやっとわかるお金に対する価値観の違い
- 子どもができてはじめてわかる育児・教育方針の価値観の違い
お金の使い方、お小遣いに対する考え方。
なぜボーナスの取り分は全部なの?日頃頑張っている私はタダ働き?
生活費が足りないのに、パチンコへ行くの?いったいお小遣い何に使っているのよ!
子どもに無関心すぎ、何一つ手伝ってくれないのはなんで?
孫ができると、姑問題も出てきますよね。
嫁ぎ先で、ひとりぼっちになったような経験している女性も多いでしょう。
次第に姑問題でストレスがたまり、10kgの激やせ。
姑さんと子どもが一緒にいる姿にイライラするのが我慢できず、フルタイムで働きに出ていました。
フルタイムにパートへ行き、5kg体重が戻るという始末。色々あるんですよね。
性格の不一致を悪化させる『我慢』
同棲していた方でも、新婚当初でも、はじめは『円満な家庭』を夢見て、お互いに思いやる気持ちを持っています。
しかし、いつのまにか嫁を家政婦のように扱う旦那。小さな気遣いさえしてくれない。
- 私はあんたの母親じゃない
- 私は家政婦じゃない
「優しさのかけらもないの?」と感じるようになりますよね。
でも、女性が良かれと思ってとる行動【我慢】が、性格の不一致をもっと悪化させ、離婚問題へと近づけてしまいます。
そもそも結婚は、お互いの努力の上成り立つもの。
それなのに、なぜ妻側だけが我慢しなければならないのか。
女性が、爆発したって仕方がないんですね。
『我慢』は、夫婦を破たんさせてしまいます。
夫婦の性格の不一致を解消するには?
ただし、1つ考えて欲しいのは、我慢した末に取る自身の言動です。偉そうだし何かと否定する気にくわない旦那に、たまりかねて行なってしまう言動…実は、それは夫と同じ言動になっています。
自分が持っている価値観は、絶対正しいもの。誰もがそう思っています。
- 旦那は旦那で自分が正しいと考えている
- 妻は妻で自分が絶対的に正しいと考えている
仲の良かった頃の2人は、相手が気分よく過ごせるように、努力していたはず。
「選ぶ相手を間違えた」だけで、済む話ではありません。
お互いに思いやっていた関係が、いても当然の相手になることで生じてしまう性格の不一致。
「夫が、先に偉そうに言った!」「旦那が、どうしようもないから!」と考えていては、子どもの喧嘩と同じ。夫婦の性格の不一致を解消するために、重要なことは7つあります。
- 自分の価値観は、自分だけのものと認める
- 夫の価値観を否定せず、受け入れる
- 自分が我慢・努力しているからと、夫に評価を求めない
- 夫が間違っていると決めつけて、評価しない
- 自身が行なっている努力の結果を望まない
- 円満な夫婦生活を送るため、気持ちを伝え続ける
- 届ける気持ち・与える気持ちを持つ
我慢するしか手立てがないと思ってしまいがちですが、我慢と努力は微妙に違うんですよね。
我慢して犠牲になるのではなく、与える気持ちこそが努力です。
それでも、男性はそんな簡単に変わってはくれません。やはり、女性は我慢するしかないのか…。
でも、紹介した事例もあるように、女性が不利になる例だってあります。後悔しても、時遅しですね。
仮に裁判を勝ち取ったとしても、エネルギーを使い果たし、ズタボロになってしまいます。
離婚は、心が擦り切れてしまうほどの大問題。
自分自身と子どもの幸せを、よく考えなければいけませんね。子どもなしの女性は、ご自身の幸せを第一に考えましょう。
どうしようもない場合、夫婦生活を修復するための『円満調停』という手段もあるようです。